婚約不履行の費用
婚約とは、将来の結婚を男女が約束することを指します。
婚約は伝統的な結納を行わなくても成立し、口約束など比較的簡易な意思確認で法的には成立することになります。それゆえ婚約不履行によるトラブルはよくあり、損害賠償請求に発展することもあります。
婚約は将来を約束しあった男女が婚姻契約を結ぶ予約であるとみなされます。
契約を行う予約である以上、それには権利義務が発生し、相互に結婚するための努力義務を負うことになるのです。一般的に「婚約を破れば婚約不履行になる」という知識はあるのですが、そこにはれっきとした法律関係があることはあまり知られていないのです。
つい軽く将来について口を滑らせてしまうとその後は相互に結婚するための努力義務が発生するため、正当な理由なく婚約を破棄した場合には債務不履行や不法行為として損害賠償責任を負うことになるのです。
債務不履行（民法415条）や不法行為（民法第709条）に照らし合わせた正統な婚約解消は「当事者同士の合意に基づく婚約解消」であり、それ以外に片方に何かしらの瑕疵がある場合には損害賠償責任が生じる可能性があります。
婚約相手の不貞行為
不貞行為とは浮気や不倫といった行為をさします。結婚前の婚約の段階でも異性と肉体関係を持った場合には不貞行為とみなされ、婚約解消の原因となり損害賠償責任が生じます。
婚約相手に重大な詐称
その後の結婚生活に重大な影響を及ぼすであろう嘘も婚約解消の原因となり損害賠償責任が生じます。実際にあったケースでは「大手企業に勤めていると偽って実は無職であった」「実は離婚歴があり3人の子供がいることが判明した」などがあります。
婚約相手が既婚者
婚約相手が既婚者であった場合、婚約解消の原因となり損害賠償責任が生じます。そもそも既婚者は婚約ができない状態であり、そのことを隠した上で婚約したのであれば、その行為は違法性が極めて高いといえます。